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人材紹介とRPOの違い|採用企業が比較する依頼範囲と費用
人材紹介とRPO(採用代行)は、どちらも採用の外部支援ですが、法律上の位置づけと費用の型が異なります。人材紹介は職業安定法上の有料職業紹介事業で、候補者の紹介が決まった時点で成功報酬が発生します。RPOは採用業務そのものの委託で、原則は業務委託契約に基づく月額または従量の費用です。ただしRPOも、委託する業務の範囲によっては職業安定法の委託募集や、特定募集情報等提供事業の届出規定に触れる場合があります。この記事では、転職Docが法的位置づけ・費用の型・依頼できる範囲の3点で両者を比較し、採用企業がどちらを選ぶか、どう併用するかを整理します。
人材紹介とRPOは何が違うのか
人材紹介は「候補者を紹介し、入社が決まった時点で成功報酬を受け取る」仲介サービスです。RPOは「採用業務そのものを代行し、稼働時間や契約期間に応じて報酬を受け取る」業務委託サービスです。紹介するのが人材紹介、業務を代わりに行うのがRPOという役割の違いがあります。
この違いは費用の型にそのまま反映されます。人材紹介は採用が決まらなければ費用が発生しない成功報酬制が基本です。RPOは採用が決まるかどうかにかかわらず、契約している業務量に応じた費用が毎月発生します。一方で、RPO事業者が母集団形成やスカウト送信のように「候補者を集めて送る」業務まで担う場合、人材紹介の役割と重なる部分が出てきます。ここが後述する法律上の線引きの論点になります。
法律上、人材紹介とRPOはどう位置づけられるのか
人材紹介は職業安定法上の「有料職業紹介事業」として許可制です。RPOは原則、労働者派遣や職業紹介には当たらない業務委託ですが、業務範囲によっては同法の「委託募集」や「特定募集情報等提供事業」の規定の対象になり得ます。
人材紹介はなぜ許可制なのか
人材紹介会社は、厚生労働大臣の許可を得た有料職業紹介事業者として、求人者と求職者の間を仲介し、雇用関係の成立に対して手数料を受け取ります。手数料の料率や理論年収の定義は「人材紹介の手数料相場」で解説しています。
RPOが「委託募集」に当たるのはどんな場合か
職業安定法第36条は、労働者を雇用しようとする者が、自社の被用者以外の者に報酬を与えて労働者の募集に従事させる場合、原則として厚生労働大臣(実務上は都道府県労働局長)の許可を受けなければならないと定めています(2026年9月20日、e-Gov法令検索で確認)。無償または実費相当の報酬にとどまる場合は、許可ではなく届出で足ります。
弁護士法人ロア・ユナイテッド法律事務所の解説記事は、採用業務の外部委託についてこの委託募集の規定に触れ、委託先が募集そのもの(母集団形成やスカウトなど、候補者に直接アプローチして応募を促す行為)を報酬を得て行う場合は、委託募集の許可・届出の対象になり得るとの考え方を示しています。求人票のたたき台作成や面接日程の調整のように、募集主が最終判断を行う業務の事務支援にとどまる場合は、この規定の対象にはなりにくいとされています。
母集団形成を担うRPOは特定募集情報等提供事業の届出対象になりうるか
2022年10月に施行された改正職業安定法により、インターネット上で求職者に関する情報を収集し、求人者に提供する事業のうち一定の要件を満たす「特定募集情報等提供事業」を行う者は、職業安定法第43条の2に基づき、名称・住所などを厚生労働大臣に届け出る義務を負います(厚生労働省「令和4年 改正職業安定法Q&A」2026年9月20日取得)。RPO事業者が採用企業に代わってスカウト媒体を運用し、求職者情報を収集・提供する業務を担う場合、この届出の対象になり得ます。委託前に、RPO事業者が届出済みかどうかを確認する項目のひとつになります。
費用の型はどう違うのか
人材紹介は「理論年収×料率」の成功報酬制が基本です。RPOは「月額固定または稼働時間に応じた従量制」が基本で、一部に成果報酬型を組み合わせる事業者があります。
人材紹介の手数料はいくらか
厚生労働省「人材サービス総合サイト」に掲載されている事業主のうち、手数料実績率を1職種以上公開している事業主は738社(全体の73%)で、事業主×職種1,042件の実績率の中央値は27.0%です(2026年9月19日取得、編集部集計)。職種別では、看護師・准看護師の実績率の中央値が22.1%(公開144事業主)、建築・土木・測量技術者が32.8%(公開106事業主)と、職種によって10ポイント前後の差があります。理論年収500万円の職種であれば、料率22.1%は約110.5万円、32.8%は約164万円に相当します。手数料の計算方法は「成功報酬の計算方法」にまとめています。
RPOの月額料金は公式サイトでどこまで公開されているか
RPOの料金は、人材紹介の手数料実績率のように公開が義務付けられた項目ではありません。転職Docは、比較サイトで紹介されている主要なRPO事業者3社の公式サイトを2026年9月20日に確認しました。具体的な金額を明記していたのは2社でした。
- まるごと人事(マルゴト株式会社): 「まるごと人事ライト」月額25万円(税別)・初期費用10万円(税別)・最短1か月から契約可能と公式サイトに記載
- CASTER BIZ recruiting(株式会社キャスター): 「MINIMUM」月額25万円(税込27.5万円)で稼働40時間、「STANDARD」月額40万円(税込44万円)で稼働70時間、初期費用0円と料金ページに記載
- 即戦力RPO(株式会社ミギナナメウエ): 具体的な金額は公式サイトに記載がなく、契約期間3か月〜のオーダーメイド型と案内。金額は問い合わせが必要
3社中2社が月額の金額を公式サイトで公開し、1社は個別見積り制でした。比較サイトBOXIL Magazineが実施した342人調査では、業務の一部を委託する場合の月額相場は10万〜20万円台、採用業務全般を委託する場合は40万円台以上が目安とされています。これは比較サイトによる調査であり、厚生労働省の公開データのような公的統計ではありません。
依頼できる範囲はどう違うのか
人材紹介は候補者の紹介が中心で、母集団形成や書類選考は紹介会社側で完了しています。RPOは求人票の作成から内定者フォローまで、採用業務の広い範囲を代行できます。
| 業務 | 人材紹介 | RPO(採用代行) | 備考 | |---|---|---|---| | 求人票作成 | △ | ◯ | 人材紹介は求人情報を受け取るのが基本。RPOは求人票のたたき台作成まで代行することが多い | | 母集団形成 | × | ◯ | 人材紹介は自社の登録者から紹介します。母集団を新たに形成する業務はRPOの役割です | | スカウト送信 | △ | ◯ | 一部の人材紹介はスカウト型サービスを兼業します。RPOはスカウト代行を主要業務とする事業者が多いです | | 書類選考 | × | ◯ | 人材紹介は候補者を絞って紹介するため書類選考は紹介会社側で完了している。RPOは採用企業に代わって一次選考を行う | | 日程調整 | △ | ◯ | 人材紹介も面接日程の調整を担うことがあるが、RPOは日程調整を業務範囲に明示することが多い | | 面接代行 | × | △ | 一次面接の代行を業務に含めるRPO事業者もあるが、採用の最終判断は採用企業に残る | | 内定者フォロー | × | △ | 内定者への連絡・入社手続きの案内を業務に含めるRPO事業者がある |
表は各サービス類型に多く見られる傾向であり、実際の契約範囲は事業者ごとに異なります。委託前に契約書の業務範囲の条項で個別に確認します。契約書を確認するときの視点は「人材紹介の契約書の注意点」でも解説しています。
どちらが向くのか
特定の職種で経験者を早く採用したい場合は人材紹介が向きます。採用業務の量に対して社内の人手が足りない場合はRPOが向きます。
紹介実績のある職種で、今すぐ1〜2名を採用したい場合は、人材紹介が向いています。紹介会社が保有する登録者データベースから、条件に近い候補者を短期間で紹介してもらえます。一方、複数職種・複数拠点の採用を同時に進めているものの、採用担当が求人票作成やスカウト送信まで手が回らない場合は、RPOで業務の穴を埋める選択が向いています。医療・介護・建設のように応募を待つだけでは人数が集まりにくい業種で、スカウトを主体に攻めたい場合もRPOの検討対象になりますが、前述のとおり業務範囲によっては委託募集の許可・届出が関わるため、委託前に確認が必要です。
人材紹介とRPOを併用し、紹介ルートとスカウトルートを同時に走らせる採用企業もあります。求人媒体との使い分けを含めた費用の比較は「人材紹介と求人媒体の損益分岐点」、依頼から入社までの流れは「人材紹介を依頼する流れ」で解説しています。
よくある質問
Q. RPO事業者に職業紹介の許可がなくても契約できるか A. 委託する業務が業務委託の範囲にとどまり、委託募集や職業紹介に当たらない場合は、RPO事業者に職業紹介の許可は不要です。ただし業務範囲がスカウト代行や母集団形成に及ぶ場合は、契約前に委託募集の許可・届出の有無を確認します。
Q. 人材紹介とRPOを同時に使ってもいいか A. 併用は可能です。同じポジションで両方に候補者対応を任せると、候補者への連絡が重複することがあります。募集経路をポジション単位で分けるなど、運用ルールを事前に決めておくと混乱を避けられます。人材紹介を複数社併用する場合の管理方法は「複数の人材紹介会社を併用する」で解説しています。
Q. RPOの費用は必ず月額固定か A. 月額固定型が中心ですが、稼働時間に応じた従量型や、採用数に応じた成果報酬型を組み合わせる事業者もあります。転職Docが確認した事業者では、月額固定に稼働時間の上限を組み合わせるプランが多く見られました。
Q. 人材紹介の手数料相場とRPOの料金相場は比べられるか A. 前提が異なるため単純比較はできません。人材紹介は入社1名あたりの成功報酬、RPOは業務量に応じた継続費用です。採用予定人数と依頼したい業務範囲を仮定してから、それぞれの総額を試算して比較する必要があります。
まとめ
人材紹介は職業安定法上の有料職業紹介事業で、成功報酬制です。RPOは原則業務委託で月額・従量制ですが、業務範囲によっては委託募集や特定募集情報等提供事業の届出の対象になり得ます。依頼できる範囲は人材紹介が紹介中心、RPOは求人票作成から内定者フォローまで幅広く対応します。自社の採用課題がどちらの型に合うかを見極め、必要であれば併用も検討します。