転職Doc / 採用企業・紹介会社の方へ / 人材紹介の成功報酬の計算方法|採用企業が確認する理論年収の定義
人材紹介の成功報酬の計算方法|採用企業が確認する理論年収の定義
人材紹介の成功報酬は、理論年収に料率をかけて算出します。同じ料率でも、理論年収に何を含めるかは紹介会社によって異なり、請求額に差が出ることがあります。転職Docは、理論年収の定義を公式サイトで公開している紹介会社3社を比較し、看護師・建築土木・営業の職種別の計算例、そして料率や理論年収を交渉できる余地を整理しました。
人材紹介の成功報酬はどう決まるのか
成功報酬は「理論年収×料率」で決まります。理論年収は、入社した人材が1年間就労した場合に支払われると想定する年収の概算額です。実際に支払った給与の額ではありません。料率は紹介会社ごとに異なり、厚生労働省「人材サービス総合サイト」で手数料実績率を公開している738事業主・1,042件(12職種×47都道府県を編集部が集計)の中央値は27.0%でした(2026年9月19日取得)。職種別の内訳は「人材紹介の手数料相場」にまとめています。同じ27%という料率でも、理論年収に含める手当の範囲が違えば、請求される金額は変わります。次の見出しで、定義を公式サイトで公開している3社を比較します。
「理論年収」の定義は紹介会社ごとに何が違うのか
3社を比較したところ、通勤手当とインセンティブの扱いに差がありました。転職Doc編集部は2026年9月20日、マンパワーグループ、リクルートエージェント、アデコが企業向けに公開している公式サイトの解説ページで、理論年収の定義と料率の記載を確認しました。届出手数料表そのものではなく、各社が採用企業向けに説明している内容です。3社の例であり、業界全体の共通ルールを示すものではありません。
| 紹介会社(企業向け解説ページ) | 解説ページが示す料率の目安(各社の届出手数料表の値ではありません) | 理論年収に含むと明記 | 含まないと明記/不明な点 | |---|---|---|---| | マンパワーグループ | 35〜40%程度 | 基本給・諸手当・賞与・固定残業手当・住宅手当・家族手当 | 通勤手当(交通費)、月により変動する残業代・インセンティブ | | リクルートエージェント | 35%が目安(最大50%まで設定可) | 基本給・固定(みなし)残業代・賞与・住宅手当等の各種手当 | 通勤手当(非課税処理のため)、成果報酬・インセンティブ(変動するため) | | アデコ | 中途30〜35%・ハイクラス40〜50% | 基本給・各種手当・賞与 | 固定残業代・通勤手当・インセンティブを含むかどうかの明記なし |
(出典: 各社公式サイト、2026年9月20日確認)
通勤手当とインセンティブはなぜ除外されやすいのか
通勤手当は非課税処理を理由に除外されます。リクルートエージェントの公式サイトは「通勤手当(交通費)は税務処理上では非課税となるため、理論年収には含まれません」と説明しています(2026年9月20日確認)。インセンティブや変動する残業代は、月によって金額が変わるため理論年収に含めないという説明も同サイトにあります。マンパワーグループも同様に、交通費と変動要素を含まない旨を公式サイトに記載しています。
定義を明記していない紹介会社はどう確認すればいいか
契約前に書面で確認します。編集部が確認したアデコの公式サイトは、基本給・各種手当・賞与を含むと説明する一方、固定残業代・通勤手当・インセンティブを含むかどうかは明記していません。理論年収の内訳が契約書に明記されているかどうかは「人材紹介の契約書の注意点」で確認方法を整理しています。定義が曖昧なまま契約すると、入社時賞与(サイニングボーナス等)の扱いで請求額の認識が食い違う可能性があります。
料率は職種によってどのくらい違うのか
技術・営業系は30〜35%、医療・介護系は20〜25%に集中します。編集部が厚生労働省「人材サービス総合サイト」で集計した手数料実績率の中央値は、看護師(准看護師含む)で22.1%、建築・土木・測量技術者で32.8%、営業の職業で32.6%でした(2026年9月19日取得、事業主単位の集計)。全体の分布はP10が15.0%、P90が36.7%で、下位10%と上位10%の間に約22ポイントの差があります。全12職種の一覧は「人材紹介の手数料相場」で確認できます。
職種別に計算すると成功報酬はいくらになるのか
看護師・建築土木・営業の3職種で計算します。理論年収は「月給×12か月+賞与」で仮定した金額であり、実在する人材の年収ではありません。通勤手当・インセンティブは、複数社の公式サイトの説明に合わせて含めていません。
| 職種 | 理論年収(仮定) | 料率(厚労省実績率中央値) | 成功報酬額 | |---|---|---|---| | 看護師 | 月給30万円×12+賞与90万円=450万円 | 22.1% | 約99.5万円 | | 建築・土木・測量技術者 | 月給40万円×12+賞与120万円=600万円 | 32.8% | 約196.8万円 | | 営業の職業 | 月給28万円×12+賞与64万円=400万円 | 32.6% | 約130.4万円 |
料率は事業主によって異なるため、同じ職種でも成功報酬額はこの例より高くなることも低くなることもあります。契約前に依頼予定の紹介会社の手数料実績率を確認する方法は「人材サービス総合サイトの見方」にまとめています。
成功報酬に法律上の根拠はあるのか
職業安定法第32条の3に根拠があります。同条第1項は、有料職業紹介事業者が職業紹介に関して手数料を受け取れる場合を、厚生労働省令が定める上限制手数料と、あらかじめ厚生労働大臣に届け出た手数料表に基づく届出制手数料に限定しています(2026年9月20日、e-Gov法令検索で確認)。実務では届出制手数料を採用する事業者が大半です。同条第2項は、求職者からの手数料徴収を原則として禁止しています。求人企業が支払う成功報酬は、求職者への課金とは別の枠組みで規制されている点も確認しておきます。契約書の料率が、この届出済みの手数料表と一致しているかどうかは「人材紹介の契約書の注意点」で確認点を整理しています。
料率や理論年収は交渉できるのか
交渉できる余地は3つあります。ただし、交渉すれば必ず下がるとは限りません。
- 料率そのものの交渉: 複数職種・複数名の採用を依頼する場合や、長期的な取引を前提にする場合、料率について紹介会社に相談する余地があります。届出済みの手数料表の範囲内であることが前提です。
- 理論年収の範囲の交渉: 入社時賞与(サイニングボーナス等)や諸手当を理論年収に含めるかどうかは、契約前に書面で確認・交渉できます。含める範囲が1つ違うだけで、請求額は数万円から数十万円変わります。
- 返戻金条件の交渉: 早期退職時の返金の期間区分や返戻率は、契約書の条項として交渉の対象になります。区分の追加や料率の見直しを求める余地があります。詳しくは「人材紹介の返戻金制度」で解説しています。
いずれの交渉も、紹介会社が応じるかどうかは個社の判断です。要望を書面で伝え、回答をもらっておくと、後の認識違いを防げます。
よくある質問
Q. 理論年収に通勤手当は含まれますか A. 含まれないと明記している紹介会社が複数あります。編集部が確認したマンパワーグループとリクルートエージェントは、通勤手当(交通費)を理論年収に含めないと公式サイトに記載しています(2026年9月20日確認)。含めるかどうかは契約書で個別に確認します。
Q. インセンティブや残業代は理論年収に含まれますか A. 変動する要素は含めない例が確認できます。リクルートエージェントの公式サイトは、成果報酬(インセンティブ)や実績に応じた残業代を、金額が変動することを理由に理論年収へ含めないケースが多いと説明しています。固定分の残業代(みなし残業代等)は含める例があります。
Q. 料率は交渉すれば必ず下がりますか A. 必ず下がるとは限りません。届出制手数料は、紹介会社があらかじめ厚生労働大臣に届け出た手数料表の範囲内で運用されます。交渉の余地はありますが、応じるかどうかは紹介会社の判断です。
Q. 理論年収の定義を紹介会社が明記していない場合、契約前に何を確認すればよいですか A. 基本給・固定残業代・賞与・各種手当・通勤手当・インセンティブの6項目について、それぞれ含むかどうかを書面で確認します。編集部が確認したアデコの公式サイトのように詳細が明記されていない場合は、個別に問い合わせる必要があります。
まとめ
人材紹介の成功報酬は、理論年収×料率で決まります。ただし理論年収に含める項目は紹介会社によって異なり、転職Docが確認した3社でも通勤手当・インセンティブの扱いに差がありました。契約前に、理論年収の定義と料率の両方を書面で確認します。求人媒体を含めた費用比較は「人材紹介と求人媒体の損益分岐」で解説しています。