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ハローワークと人材紹介の違い|採用企業が使う基準と助成金の要件
採用担当者から「ハローワークと人材紹介、どちらを使えばいいのか」という質問をよく受けます。答えは、費用・掲載までの流れ・応募者層・採用工数・助成金の5点で仕組みが違うため、職種と採用規模によって向き不向きが分かれるという点です。転職Docが厚生労働省の公開データを使い、手数料相場と助成金の対象範囲を確認したうえで、採用企業が使い分けの基準にできる情報を整理します。
ハローワークと人材紹介会社は、何が違うのか
違いは費用・掲載までの流れ・応募者層・採用工数・助成金の5点に集約できます。表にまとめました。
| 軸 | ハローワーク | 人材紹介会社 | |---|---|---| | 費用 | 掲載・紹介ともに無料 | 理論年収×手数料実績率(中央値27.0%)の成功報酬 | | 掲載までの流れ | 事業所登録→求人申込→受理後掲載(掲載期間は受理月の翌々月末まで) | 条件のヒアリング→紹介会社が候補者を選定→紹介 | | 応募者層 | 登録するすべての求職者が応募できる | 紹介会社に登録し要件に合致した人材のみ | | 採用までの工数 | 書類選考・面接調整を基本的に自社で対応 | 一次選考の絞り込み・条件交渉の一部を代行 | | 助成金との関係 | 対象助成金の紹介機関として利用できる | 紹介証明書の発行を受ければ同じ助成金の対象になり得る |
ハローワークは国が運営する公共職業安定所で、求人の掲載・紹介はいずれも無料です。人材紹介会社は民間の有料職業紹介事業者で、採用が決まった時点で理論年収に応じた成功報酬を受け取ります。この料率は職種によって20%台前半から30%台半ばまで差があります。どちらか一方が優れているわけではなく、採用したい職種と社内の採用工数の余裕で選択が変わります。
費用はどちらが安いのか
ハローワークは掲載料・紹介料ともに無料です。人材紹介会社は、採用が決まった段階で理論年収に手数料実績率をかけた金額を成功報酬として支払います。
厚生労働省「人材サービス総合サイト」で12職種×47都道府県、事業主1,011件を転職Doc編集部が一括取得したところ、手数料実績率を公開している738事業主・1,042件の中央値は27.0%でした(2026年9月19日取得、編集部集計)。職種によって差があり、看護師・准看護師は22.1%、施設介護の職業は20.3%と20%台前半に集中する一方、営業の職業は32.6%と30%台に位置します。理論年収500万円の職種で料率27.0%なら成功報酬は135万円、料率22.1%なら約110.5万円という計算です。職種別の分布は「人材紹介の手数料相場」にまとめています。
求人票の作り方と掲載までの流れは、どちらが早いのか
ハローワークは事業所登録と求人申込書の提出が必要で、受理後に掲載されます。人材紹介会社は求人条件をヒアリングしたうえで、紹介会社が候補者を選定してから紹介する仕組みで、企業側が公開の求人票を作成する工程は基本的に発生しません。
ハローワークの掲載までの手順
初めて利用する場合は事業所登録が必要です。インターネットで仮登録したうえで窓口で本登録を行う方法と、窓口へ行ってから仮登録・本登録を済ませる方法があります。登録後に求人申込書を提出し、ハローワークが受理すると掲載が始まります。掲載期間は受理した月の翌々月末までで、10月1日受理でも10月15日受理でも、同じ12月31日まで掲載されます(神奈川労働局、2026年9月20日取得)。継続したい場合は、掲載期間最終月のおおむね20日前後から更新手続きができます。
人材紹介会社に依頼してからの流れ
条件のヒアリング精度が採用のスピードを左右します。ハローワークのような公開求人票の作成・掲載工程がない分、要望を紹介会社に正確に伝える最初のヒアリングが工程の起点になります。依頼から採用決定までの標準的な流れは「依頼から採用までの流れ」で解説しています。
応募者層はどちらが広いのか
ハローワークは公共の職業紹介機関のため、登録しているすべての求職者が窓口やインターネットサービスから応募できます。人材紹介会社は、登録した転職希望者のうち採用条件に合致する人材だけを紹介します。
ハローワークの求人はインターネットサービスでも公開されるため、閲覧・応募できる求職者の範囲は広くなります。高齢者や母子家庭の親など、特定の助成金の対象になる求職者がハローワークを通じて応募してくることもあります(助成金の詳細は後述します)。人材紹介会社は、紹介会社が事前にスクリーニングした人材だけを紹介するため、応募者数は少なくなりますが、提示した条件との適合度は高くなる仕組みです。どちらの応募者層が採用に合うかは職種と条件設定によって変わります。
採用までの工数はどちらが軽いのか
ハローワークは書類選考や面接調整を基本的に自社で行います。人材紹介会社は一次選考の絞り込みや条件交渉の一部を代行します。
ハローワークから応募が入ると、書類の確認、面接日程の調整、合否連絡までを採用企業側が担います。応募数が多い職種では、この対応工数が採用担当者の負荷になります。人材紹介会社は、要件に合わない候補者を紹介の段階で絞り込むため、書類選考の一次対応の手間は軽くなります。ただし条件のすり合わせや契約書の確認など、依頼前に発生する工数もあります。紹介会社を使う場合の選定基準は「紹介会社の選び方7つの基準」に整理しています。
ハローワーク経由でなければ、助成金は使えないのか
使えないとは限りません。特定求職者雇用開発助成金やトライアル雇用助成金は「ハローワーク等」の紹介を要件としますが、この「等」には有料・無料の職業紹介事業者(人材紹介会社)も含まれます。
厚生労働省「雇用関係助成金を取り扱う職業紹介事業者等」のページでは、対象となる紹介機関として、ハローワーク・地方運輸局・独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構・無料職業紹介事業を行う地方公共団体に加え、民間の有料・無料職業紹介事業者を挙げています(2026年9月20日取得)。人材紹介会社を通じて対象労働者を採用した場合も、その紹介事業者から紹介証明書の発行を受ければ、助成金の申請対象になり得ます。対象労働者の条件やコースごとの要件は助成金の種類によって異なるため、依頼前に紹介会社と管轄の労働局の双方に確認します。転職Docが確認した限り、対象となる紹介機関の一覧は上記ページに公開されていますが、有料・無料職業紹介事業者を対象に含める根拠となる要領・通達の名称そのものは、このページには明記されていません。
有効求人倍率で見ると、ハローワークの需給規模はどれくらいか
厚生労働省の一般職業紹介状況(令和8年7月分)によると、有効求人倍率(季節調整値)は1.18倍でした。求職者1人あたり1.18件の求人があるという計算です。
同じ月の新規求人倍率(季節調整値)は2.10倍で、前月から0.06ポイント低下しました(厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年7月分)について」2026年8月28日公表、2026年9月20日取得)。この統計は、ハローワークの窓口とインターネットサービスに登録された求人・求職を集計したもので、人材紹介会社の取扱件数は含まれません。倍率が1倍を超えている状態は、求人数が求職者数を上回っていることを示しており、未経験者向けの求人でも一定の競争があることの目安になります。
ハローワークと人材紹介、それぞれどんな採用に向くのか
採用したい人数が多く未経験者を含む職種はハローワーク、専門性が高くスクリーニングに時間をかけたい職種は人材紹介会社が向きます。向き不向きは、職種と採用規模で判断します。
- ハローワークが向くケース: 複数名採用や未経験者歓迎の求人、掲載コストを抑えたい採用、特定求職者雇用開発助成金など対象者を含めたい採用
- 人材紹介会社が向くケース: 専門職・管理職など要件が絞られた採用、社内の書類選考・調整工数を減らしたい採用、急募でスピードを優先する採用
料率が20%台に集中する看護師や施設介護の職業は、専門資格が必須の職種でもハローワークと人材紹介を比較しやすい価格帯です。一方、料率が30%台に集中する営業や技術系の職種は、人材紹介の工数削減効果と費用を見比べる判断が必要になります。ハローワークで幅広く募集しながら、専門性が高いポジションだけ人材紹介会社に依頼する併用も可能です。求人媒体を含めた比較は「人材紹介と求人媒体の損益分岐点」、採用後の定着を基準にする場合は「定着率(6か月以内離職率)の調べ方」で解説しています。
よくある質問
Q. ハローワークと人材紹介会社は同時に使ってもいいか A. 併用できます。ハローワークは無料の公共職業紹介、人材紹介会社は成功報酬制の民間紹介で、役割が異なるため同時利用を制限する規定はありません。同じ求人を両方に出す場合は、応募ルートを記録し、選考の重複を避ける運用を決めておくと管理しやすくなります。
Q. ハローワークの求人はいつまで掲載されるか A. 受理した月の翌々月末までです。10月1日に受理された求人も10月15日に受理された求人も、掲載期間は同じ12月31日までになります。継続する場合は、掲載期間最終月のおおむね20日前後から更新の手続きができます。
Q. 助成金を使うには必ずハローワーク経由で採用しなければならないか A. 必ずしもそうとは限りません。特定求職者雇用開発助成金などは「ハローワーク等」の紹介を要件としますが、この「等」には有料・無料の職業紹介事業者(人材紹介会社)も含まれます。人材紹介会社から紹介証明書の発行を受ければ対象になり得ますが、対象労働者の条件はコースごとに異なるため、依頼前に確認が必要です。
Q. ハローワークと人材紹介で、応募者の質に差はあるか A. 一律に比較できません。ハローワークは公共の職業紹介機関としてすべての求職者に開かれており、人材紹介会社は登録者から要件に合う人材を絞り込んで紹介します。応募者の傾向は、職種や条件設定、選考プロセスによって変わります。
まとめ
ハローワークと人材紹介会社の違いは、費用・掲載の流れ・応募者層・工数・助成金の5点に整理できます。ハローワークは無料で幅広い応募者に届き、人材紹介会社は成功報酬で採用工数の一部を代行します。助成金は「ハローワーク等」の紹介が要件でも、人材紹介会社経由で対象になる場合があるため、ハローワーク限定という思い込みは見直す価値があります。自社の職種と採用規模に合わせて、使い分けるか併用するかを判断します。